軟部組織の難治性悪性腫瘍
2014年4月22日、大鵬薬品工業株式会社は、新規抗がん剤ET-743(一般名:トラベクテジン)の悪性軟部腫瘍患者を対象とした第II相臨床試験において、無増悪生存期間の延長目標を達成したと発表した。
悪性軟部腫瘍は、筋肉や脂肪、結合組織、血管リンパ管など身体の軟部組織に発生する難治性の悪性腫瘍。推定患者数3,000人の稀少疾患であり、日本での年間罹患率は10万人あたり2~3人。
ホヤからの天然物質をもとにした薬剤
ET-473は、カリブ海産のホヤの一種から単離された天然物で、現在は合成方法が確立されている。DNAに結合して細胞分裂、遺伝子転写、DNA修復機構を妨げることで、抗がん作用を発揮。スペインのファーママー社が新規抗がん剤として開発し、2009年に同社と開発・販売に関するライセンス契約を締結した大鵬薬品が国内での開発を進めてきた。現在、世界80ヵ国で販売されている。
今回行われた第II相臨床試験は、染色体転座が報告されている組織型の悪性軟部腫瘍患者で、ET-743の有効性を支持療法と比較したもの。国内12施設から登録された76例を対象とした検討の結果、ET-743で無増悪生存期間が有意に延長された。この結果の詳細は、5月30日~6月3日に米国シカゴで開催される米国臨床腫瘍学会で発表される予定。
大鵬薬品は「アンメット・メディカル・ニーズの高い悪性軟部腫瘍に対し、ET-743を新たな治療選択肢として国内の患者さん・医療関係者に提供できるよう、承認取得に向けて取り組む」とコメントしている。

新規抗悪性腫瘍剤 ET-743(トラベクテジン)が悪性軟部腫瘍患者を対象とした第Ⅱ相臨床試験において無増悪生存期間の延長目標を達成(大鵬薬品工業株式会社)
http://www.taiho.co.jp/corporation/news/2014/20140422.html