抗がん剤の血管外漏出による組織障害の治療薬
2014年4月17日、キッセイ薬品工業株式会社は、抗がん剤による組織障害の治療薬「サビーン」の発売を発表した。
がんに対する化学療法では、薬剤による血管の脆弱化や循環障害などにより、静脈内に投与される抗がん剤が血管外へ漏出しやすくなる。漏出すると皮膚や周囲の組織に局所性の壊死を引き起こす可能性があることから、早期に適切な対処を行うことが重要である。
組織傷害性には抗がん剤の種類や量などが関連するが、とくにアントラサイクリン系の薬剤は、少量であっても血管外への漏出により発赤や腫脹、疼痛を来し、皮膚の壊死や難治性潰瘍に至る場合もあるため、早急な処置が必要とされる。
(画像はプレスリリースより)
がん患者のQOL向上に期待
サビーンは、アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤の血管外漏出による組織障害に対する唯一の治療薬で、世界30ヵ国以上で販売されている。日本国内では、厚生労働省による「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」における開発企業の公募にキッセイ薬品が応じて本剤の開発を進め、2014年1月17日に製造販売承認を取得した。
同社は「本剤の適正使用情報の提供活動に取り組み、一人でも多くの患者さんのQOL向上に貢献できるよう努める」としている。

アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤の血管外漏出治療薬「サビーン点滴静注用500mg」新発売のお知らせ(キッセイ薬品工業株式会社)
http://www.kissei.co.jp/l2/l3/Vcms3_00000780.html