国産の経口抗凝固薬エドキサバン
2014年4月1日、第一三共株式会社は、北米および欧州において経口第X因子阻害薬エドキサバンの第3相臨床試験ENSURE-AFを開始したと発表した。
血液凝固には、トロンビンが大きく関与する。エドキサバンはトロンビンの生成過程に関わる血液凝固第X因子を阻害することで、血液凝固を抑制する薬剤。現在、下肢整形外科手術(膝関節全置換術、股関節全置換術、股関節骨折手術)施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制を適応として販売されている。
心房細動における脳卒中抑制効果を検証
心房細動は、心拍数が早く不規則になる不整脈疾患の一つであり、先進国の罹患率は約2.3~3.4%とされる。脳卒中は世界中の死因の第2位であり、毎年約620万人が死亡している。
心房細動患者では心房内に血栓ができやすく、血栓が脳に移行すると脳卒中を引き起こす可能性があるため、抗凝固薬を用いた抗血栓療法が必要とされる。電気的除細動は、電気的な刺激により心臓のリズムを正常に戻す治療法であるが、抗凝固療法をうけていない場合は、脳卒中を含む血栓塞栓症のリスクが高くなる。
ENSURE-AF試験は、250施設が参加する国際共同無作為化比較試験で、電気的除細動を施行予定の心房細動患者2、200名を対象とし、脳卒中を含む血栓塞栓症に対する有効性および安全性を検討する。対象患者をエドキサバン群およびエノキサパリン/ワルファリン群に割り付け、脳卒中、全身性塞栓症、心筋梗塞および心血管死亡を比較する。
また、エドキサバンについては、国際共同試験ENGAGE AF-TIM 48(非弁膜症性心房細動)およびHokusai-VTE(深部静脈血栓症/肺塞栓症)も実施され、有効性についてはワルファリンに対する非劣性、安全性については優越性が示された。これらの結果に基づき、日本、欧州、米国において承認申請が行われている。

抗凝固剤「エドキサバン」の電気的除細動を施行予定の心房細動患者を対象とする ENSURE-AF試験の開始について
http://www.daiichisankyo.co.jp/news/detail/006101.html