世界に先駆けて承認される
大塚製薬株式会社(以下、「大塚製薬」)は、世界に先駆け、「サムスカ(R)錠7.5mg、15mg(一般名:トルバプタン)」に対し、常染色体優性多発性のう胞腎(ADPKD)の追加効能の承認を日本で最初に取得し、また、水利尿薬として承認を受けている「サムスカ(R)錠30mg」がADPKDの効能で新規に承認されたと発表した。
「サムスカ」は、適正使用について理解するためのe-Learningを受講した医師(登録医)のみ処方が可能である。
(画像はプレスリリースより)
ADPKD
ADPKDは、遺伝子の変異により両方の腎臓にのう胞(液体が詰まった袋)が無数にできて腎臓が何倍にも増大し、腎機能が徐々に低下していく遺伝性の病気であり、両親のいずれかがADPKDの場合、50%の確率で子どもに遺伝する。30~40歳代以降に多く発症し、血尿、腹痛・腰背部痛、腹部膨満などがみられる。
また、腎機能が低下する前から合併症として高血圧が多くみられ、脳動脈瘤や肝のう胞なども高い頻度で合併する。腎機能が低下してくると腎移植または透析が必要(ADPKDは、透析の原因疾患のうち第4位)となり、半数近くの患者が70歳までに末期の腎不全に至るといわれている。
根本的な治療方法および有効な治療薬が存在しないため、ADPKDを正確に診断して治療を施すことができる医師も多くないという。
遺伝性の疾患のなかでも発症頻度が高く、約4,000人に1人が患者であると推定され、日本には約3万人、米国には約12万人、欧州には約20万人の患者さんが存在する。
「サムスカ」
「サムスカ」は、大塚製薬が26年をかけて創製した薬剤で、バソプレシンV2-受容体拮抗作用により水だけを出すことができる利尿剤として世界14カ国・地域で使用されている。
その一方で、バソプレシンV2-受容体を介したcAMP産生の抑制によりADPKDの腎のう胞の増殖・増大を抑制することが発見された。
これを受けて、大塚製薬は、2004年から、希少疾病であるADPKDの治療薬開発に米国メイヨー・クリニックのヴィセンテ・E・トーレス教授を筆頭に世界の専門医とともに取り組んできた。
世界15カ国で行われた国際共同臨床試験において「サムスカ」は、プラセボと比較した結果、腎臓の容積の増加率を約50%抑制することが証明されている。この試験結果は2012年11月にニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン誌に掲載された。

大塚製薬株式会社ニュースリリース
http://www.otsuka.co.jp/company/release/2014/0324_01.html