新たな陽子がん治療システム
日立製作所は北海道大学と共同開発を行っていた陽子線がん治療システム「陽子線治療システム PROBEAT-RT」について薬事法に基づく医療機器の製造販売承認を取得したことを発表しました。
この陽子線治療システムは陽子線がん治療の世界的な普及を目指して日立と北大が共同開発した治療装置で、照射方式をスポットキャニング照射方式のみに特化することを前提とし、ガントリー・照射ノズル・加速器を小型化するなどして、全体をコンパクト化することに成功しました。
その背景には北大の放射線治療における治験と日立の有する設計技術が融合し、使い勝手の良い国際競争力を高めた治療システムが実現することを目指しています。
従来システムとの比較
従来日立が販売している装置と比べると、周長23mが今回は18mに、ガントリーの最大外形長・内径11m・3.5mが9m・2.5mと、それぞれ小型化されたことで、システム全体の設置面積を約7割に縮小することに成功しました。
今回の共同開発は2010年に採択された最先端研究開発支援プログラムの採択を受けて行われたもので、北大からは「持続的発展を見据えた『分子追跡放射線治療装置』の開発」が採択されました。
放射線医療・がん治療技術の領域においては、呼吸などで位置が変動するような腫瘍に対して精度よく陽子線を照射することができる治療システムの開発と治療システム全体の小型化が大きな課題となっていました。今回共同開発したシステムはこれらの課題を克服することが期待されています。

日立製作所 プレスリリース
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2014/03/0307a.html