今回の特許の概要
アメリカマサチューセッツ州に本社を置くVerastem社は、日本の特許庁より、同社が開発した低分子二重阻害薬につき特許が付与されたことを2014年2月5日に発表しました。特許の名称は、「キナーゼ阻害剤としてのピリミジン置換プリン化合物」と題されています。
この特許において、保護されるのはこの低分子二重阻害薬の構成内容の他、薬が有する細胞の代謝、成長といった能力が含まれるといいます。Verastem社は、がん治療の薬剤開発を行っている企業で、腫瘍の再発・転移の根底にある原因とされるがん幹細胞を選択的に殺傷することに主に着目しています。
低分子二重阻害薬の内容について
今回Verastem社に特許が付与された低分子二重阻害薬はVS-5584という名称で、PI3KとmTORC1/2と呼ばれるシグナル伝達経路に作用する薬で、このシグナル伝達経路はがん幹細胞の増殖および生存に必須の反応経路であることから、この伝達経路を阻害することで、がん幹細胞を減らす効果が期待されています。
このmTORC1/2とPI3Kをこの薬を用いて阻害することによってがん幹細胞を選択的に死滅させることができるということが、同社のスクリーニング・プラットフォーム、そして、複数のインビポモデルにおける研究で確認されています。また、タキサン抵抗性モデルを用いた研究では、VS-5584は、腫瘍の回帰を誘導するという効果についても発見されました。
現在VS-5584においては、リンパ腫と固形腫瘍の患者を対象として、第I相の試験が実施されているとのことです。

Verastem社 プレスリリース
http://phx.corporate-ir.net/