難治がんに希望
国立がん研究センターは、胆道がんの一種である「肝内胆管がん」の新たな原因遺伝子を発見したと発表した。さらに、この遺伝子の働きを妨げる薬剤も特定したという。
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研究概要
日本人の肝内胆管がん患者66人からがん細胞の提供を受け、遺伝子情報の解析を行った。
その結果、66人中9人(14%)から「FGFR2融合遺伝子」という新たながん遺伝子が2種類確認された。細胞株を使った実験では、これらの遺伝子によるがん細胞の増殖を、既存の2種類の低分子FGFR阻害剤が選択的に阻害することも確認された。さらに、FGFR2融合遺伝子陽性のがん細胞を正確に診断する分子診断法の開発にも成功したという。
年内にも試験開始
今後は同センター中央病院、東病院のほか、全国の医療施設から胆道がん患者の情報を集め、診断法の確立、FGFR2 融合遺伝子の観察研究を進めていく。
他のがんでは徐々に増えてきた分子標的薬は、胆道がんにはまだない。しかし、今回の研究で特定された2つの低分子FGFR阻害剤は、FGFR2融合遺伝子に対する分子標的薬となる可能性を持っている。同センターは、新たな胆道がん治療薬開発に向け、年内早期に国内での臨床試験開始を目指す。
胆道がんの現状
胆道がん全体の国内年間患者数は約2万人、そのうち1万8千人が死亡している。早期発見が難しく、5年生存率も20%という難治がんだ。日本人に多い胆道がんだが、世界的には希少がんであるため、大規模な臨床試験の実施が難しい。そのためいまだ有効な治療法が十分に確立できていない。

独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター
http://ganjoho.jp/public/index.html独立行政法人国立がん研究センター プレスリリース
http://www.ncc.go.jp/jp/information/press_release_20131121.html