とにかく多い「頭痛」
日本人の4人に1人が偏頭痛に悩まされているという。特に女性に多く、痛みを紛らわせるために頭痛薬を常用している人は少なくないだろう。しかし、薬を飲んでも頭痛が治まらない、余計にひどくなるという症状を訴える患者が近年増えている。
(画像はイメージです)
薬物乱用頭痛(MOH)
これは、頭痛薬が原因で逆に頭痛を引き起こす、という症状だ。偏頭痛や緊張型頭痛患者に特徴的に見られ、女性に多い。腰痛や肩こりなどで鎮痛薬を常用している人にはほとんど見られない症状であるため、MOHは偏頭痛や緊張型頭痛自体に原因があるとも言われている。
原因となるのは薬物は、NSAIDs等の鎮痛薬、エルゴタミン製剤、トリプタン製剤など。このような頭痛薬を過剰に服用していると痛みの閾値が低下してしまうため、通常なら感じない痛みも感知してしまい、さらなる薬の過剰服用につながる。
薬物乱用頭痛かどうか
MOHが疑われるのは、市販の頭痛薬を1ヶ月に15日以上(カフェインを含む薬の場合10日以上)服用している、薬の服用後に普段の頭痛とは違う痛みがある、等の場合だ。MOH患者の場合、薬の過剰摂取で頭痛が悪化していることに気づかず、さらに服用量を増やしより悪化する、という悪循環に陥っている人が多い。
MOH治療でまず大切なのは、原因薬物の摂取をやめ、適切な治療計画のもとで治療を行うこと。治療の成功率は70%程度だが、治療終了後1年以内に再発するケースが多々ある。患者に対しては簡単に薬に頼らないようしっかり教育を行い、治療終了後もフォローを続けることが再発防止につながるだろう。

日本頭痛学会
http://www.jhsnet.org/