研究成果の内容
東京大学医学部付属病院は、ホルモンの一種であるオキシトシンを鼻からスプレーにより吸入することで、内側前頭前野の活性化と、対人コミュニケーション障害が改善されることを世界で初めて示しました。この結果を元に、東大病院ではオキシトシンの点鼻スプレー製剤を活用することによって未確立であった自閉症スペクトラム障害における対人コミュニケーション障害に対する治療法開発に取り組む、とのことです。
自閉症スペクトラム障害とは
自閉症スペクトラム障害は表情や音声を利用して相手の気持ちを理解することが困難であるといった対人コミュニケーション障害を主たる症状としており、一般人口の100人に1人以上に認められる代表的な発達障害の一つです。
この障害の原因は現時点で完全に解明されておらず、そのため確立した治療方法もありません。その結果、知能が高い方であったとしても、この障害のため社会生活に支障をきたしている状況にあります。
今回の研究結果は、東大病院における40名の自閉症スペクトラム障害の成年男性を対象として、オキシトシンを投与した上で、二重盲検などの方法で医師の主導による臨床試験を行いました。その結果、オキシトシン点鼻スプレーを1回投与したことにより、内側前頭前野の活動が回復し、表情や声色を活用して相手の友好性を判断する行動が増えたという結果が得られました。
東大病院では今後、対人コミュニケーション障害の治療法開発に取り組んでいく方針を示しています。

東京大学医学部付属病院 プレスリリース
http://www.h.u-tokyo.ac.jp/