TIM-4タンパク、抗がん剤による副作用に関係
北海道大学遺伝子病制御研究所の科学者らは6日、抗がん剤による副作用にTIM-4タンパクが関与することを発見したと発表した。
(画像はプレスリリースより)
TIM-4の関与が発見されるまで、抗がん剤治療の主な副作用として知られる免疫抑制の発現メカニズムの詳細や、抗がん剤への治療効果への影響などは不明瞭だった。
TIM-4、攻撃対象の情報を消去
研究では、抗がん剤により細胞死を誘導された死がん細胞に対するマクロファージの捕食と、その後のペプチド合成を調べるため、がん組織と健常組織から得たマクロファージの比較を行った。
結果、抗がん剤を与えたがん組織内のマクロファージにはTIM-4が高発現していることがわかった。TIM-4は死がん細胞捕食後に免疫活性ペプチド合成を抑制する仕組みの制御に利用される。
がん組織内のマクロファージはTIM-4を利用して免疫活性ペプチドを完全に分解し、リンパ球ががんを攻撃するために必要な情報をマクロファージ内で消去する働きがあることが明らかにされた。
つまり、がん組織中のマクロファージのTIM-4タンパクが、本来抗がん剤により産出が促進されるはずの免疫活性ペプチドの過剰分解を促進し、がん特異的な免疫抑制が引き起こされるのである。
同科学者らはこの結果が新しいタイプのがん治療剤の開発などで重要な働きをするだろうと述べている。

抗がん剤による副作用と治療耐性をつなぐ「鍵分子」を同定
http://www.hokudai.ac.jp/news/131206_pr_igm.pdf