関節リウマチの炎症と骨破壊を強力に促進する新たな T 細胞を発見
東京大学大学院医学系研究科の研究グループは、マウスを使った実験により自己免疫疾患の発症の鍵となるT細胞(exFoxp3Th17細胞)を新たに発見し、この細胞が免疫を抑制するT細胞からの分化転換により発生することを見いだした。
本研究は独立行政法人 科学技術振興機構(JST)課題達成型基礎研究「高柳オステオネットワークプロジェクト」との共同研究として行われ、2013年12月22日発行の米国科学誌Nature Medicineのオンライン版に掲載された。
不明な点が多い関節リウマチの発症原因
関節リウマチは、全身の免疫異常に伴う関節の炎症が主な症状で、進行すると関節が変形して重大な機能障害を引き起こす場合もある病気だ。
自己の免疫系が自分自身の細胞を攻撃することによって発症する自己免疫疾患の中でも発症頻度が高く、家事や育児に忙しい年代の女性に多く見られるため、社会的な影響も大きいとされている。
自己免疫疾患は、免疫の司令塔であるT細胞のうち、自己に対する免疫応答を抑制するT細胞と促進するT細胞のバランスが破綻が発症原因と考えられているが、関節リウマチの発症原因は不明な点が多く、根本的な治療法の確立が難しい状況にある。
自己免疫疾患の新しい治療薬や診断マーカーの確立へ
今回の研究では、関節リウマチモデルマウスへの細胞移入実験やトランスクリプトーム解析などの手法を用いて、自己免疫疾患の発症の鍵となる T 細胞(exFoxp3Th17 細胞)を新たに発見し、この細胞が免疫を抑制する T 細胞からの分化転換により発生することを見いだした。
本研究により新たに発見された T 細胞は、関節リウマチだけでなく多発性硬化症や全身性エリテマトーデスなどのさまざまな自己免疫疾患の治療標的となる可能性を持っており、新しい
治療薬や診断マーカーの確立に繋がることが期待される。

東京大学大学院医学系研究科 プレスリリース
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