
国際大学法人筑波大学国際統合睡眠医学研究機構の柳沢正史教授らの研究グループは、マウスを用いた実験により、副腎皮質由来のストレスホルモンであるグルココルチコイドの日内変動が、副腎皮質においてこれまで知られていなかった分泌制御機構によって制御されていることを発見した。また、その制御機構が抗不安作用に結びついていることを明らかにした。
本研究はCell誌2013年12月5日号(オンライン版)に掲載された。
グルココルチコイドの分泌制御機構を発見
グルココルチコイドは視床下部-下垂体-副腎内分泌系で制御される副腎皮質ホルモンの一つで、ストレスホルモンとして知られている。
今回の研究では、加齢に伴い副腎皮質にしばしば見られる組織学的変化である被膜下細胞過形成(SCH)に着目してマウスを用いた実験を行った結果、副腎皮質でのグルココルチコイドの日内変動が脳内モルヒネ遺伝子産物とケモカイン受容体により制御され、抗不安作用を表すことを明らかにした。
グルココルチコイドが関与する精神疾患のメカニズム解明に期待!
本研究の成果は、グルココルチコイドが関与するとされる精神疾患(うつ病、PTSD,クッシング症候群)のメカニズム解明に重要な知見を提供しうると期待される。
今後は、今回発見した制御の詳細な解析を進めるとともに、創薬ターゲットの可能性に関しても調べていくとのことだ。

筑波大学国際統合睡眠医学研究機構 プレスリリース
http://www.tsukuba.ac.jp/wp-content/uploads/p20131206fukujin.pdf