進行乳がんの治療薬、承認申請
ロシュ社と戦略的アライアンスを締結している中外製薬が、報道機関向けに発表した翻訳版によると、ロシュ社は本日、HER2フランチャイズで、最も新しい標的治療薬であり、かつ初の抗体薬物複合体であるKadcyla(trastuzumab emtansineまたはT-DM1)が、治療歴のあるHER2陽性の進行乳がんの治療薬として欧州委員会により承認されたことを発表した。
今回の承認申請の範囲
Kadcylaは、過去にerceptin(trastuzumab)およびtaxane系薬剤による単独もしくは併用での治療歴があるHER2陽性の手術不能のがん、もしくは転移性乳がんの成人患者を対象として、単剤治療で適応が認められている。そして、本適応では、局所進行または転移性乳がんに対して治療歴を有していること、あるいは、術後補助療法の実施中または終了6カ月以内に再発していることが明記されている。
試験成績
この承認は、Herceptinおよびtaxane系薬剤による治療を受けたことがあるHER2陽性の進行乳がん患者を無作為に、Kadcyla単剤による治療群と、標準治療法による併用群に分けて実施した主要な第3相臨床試験の成績に基づいている。
Kadcylaによる治療を受けた患者群では、併用療法を受けた患者群に比べ生存期間の延長が認められた。また、病勢が進行することなく生存し、中央値で3.2カ月の延長が認められた。
Kadcylaとは
Kadcylaは、抗体薬物複合体の一種で、HER2標的治療薬となっている。正常組織への損傷を抑え、がん細胞に直接薬剤が到達するよう作用するため、化学療法により一般的に見られるような重篤な副作用の発現を少なく抑えることを可能とする。

Kadcyla、進行乳がんに対する治療薬として欧州で承認申請(ニュースリリース)
http://www.chugai-pharm.co.jp/hc/ss/news/detail/Roche Global Website
http://www.roche.com/index.htm中外製薬株式会社
http://www.chugai-pharm.co.jp/hc/ss/index.html