大日本住友製薬、ヘリオスと共同開発契約を締結
株式会社ヘリオス(旧日本網膜研究所)と大日本住友製薬株式会社は加齢黄斑変性等の眼疾患を対象としたiPS細胞由来網膜色素上皮細胞(RPE細胞)を用いた国内における共同開発契約を締結したことを発表した。
加齢黄斑変性は日本においては、失明の原因となる第4位であり、50歳以上の1%が患者とされていて、高齢になるにつれてその患者数は増えている。また欧米においては失明の原因の第1位となっている。しかし、現在の治療法は抗VEGF抗体薬の投薬が用いられるが、患者の4割に改善が認められない状況にある。
両社はiPS細胞由来RPE細胞を細胞医薬品として早期の実用製品化ができるよう臨床試験着手および新薬事法下での加齢黄斑変性等の疾患を適応症とする製造販売承認取得を目指す。
契約の内容
共同開発の方針、分担、意思決定等は両社で構成する共同開発委員会で決定し、開発費用は大日本住友製薬が最大で52億円を提供する。国内におけるiPS細胞由来RPE細胞による細胞医薬品(PRE細胞医薬品)の開発は、共同で行うが、販売承認の取得および販売はヘリオスが行う。
合弁会社
両社は、この共同開発によって製品化されるRPE細胞医薬品に関して、販売促進を両社共同で行うため本日合弁契約を締結した。この合弁契約に基づき、両社は2014年2月を目途として、合弁会社を設立する予定である。
会社名、所在地などは未定であるが、両社がそれぞれ50%ずつ出資する。事業内容は眼疾患領域における医薬品・医療機器および再生医療等製品の製造販売とする。
実施許諾契約の締結
さらに、両社はヘリオスが保有する眼疾患領域におけるiPS細胞由来RPE細胞の大量培養をはじめとするすべての各種技術、ノウハウに関する実施許諾契約を締結した。
大日本製薬は、この実施許諾契約の締結により、ヘリオスの保有する技術やノウハウを取得することによって、再生医療・細胞医薬分野における取り組みの強化を狙いとする。
一方ヘリオスはこの実施許諾契約に基づき大日本住友製薬から契約一時金として5億円、開発時マイルストンとして、最大11億円を受け取る。また、大日本住友製薬との提携によって、iPS細胞を軸とした基盤や日本国内における承認販売取得体制、さらにはグローバル市場における製造販売承認体制を構築することが可能となる。
両社は加齢黄斑変性をはじめとする難治性網膜疾患を罹患する人々に失明から免れられるためにも、一刻も早く治療法を提供できるように、相互に協力をしてiPS細胞を用いた細胞医薬品の製品化に取り組むという。

大日本住友製薬、ヘリオスと共同開発契約を締結(ニュースリリース)
http://www.ds-pharma.co.jp/pdf_view.php?id=555記者発表資料
http://www.ds-pharma.co.jp/pdf_view.php?id=556大日本住友製薬株式会社
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