既存ワクチンに、成人の感染予防は期待できず
エイズ、マラリアと並ぶ、3大感染症のひとつである結核。その猛威は世界規模で蔓延し、年間およそ860万人が新たに発症。さらに、130万人にものぼる患者が死亡しているという。特にアジアやアフリカ諸国の感染は深刻で、日本国内でも毎年2万人以上が感染し、2千人以上が死亡している。
また、既存の結核ワクチンが、乳幼児に対して高い効果を示す一方で、成人に対する効果は乏しく、それが感染を蔓延させる一因となっていた。
ヒトパラインフルエンザ2型ウイルスベクター技術を応用
そんな現状を背景に、新規ワクチン開発を望む声が高まる中、独立行政法人医薬基盤研究所(本所:大阪府茨木市、理事長:米田 悦啓、以下、基盤研)、NPO法人Aeras(本部:米国メリーランド州、代表:トーマス・G・エバンス)、株式会社クリエイトワクチン(本社:大阪府大阪市、社長:上月 孝一、以下、クリエイトワクチン)の3者は、新規結核ワクチンの共同開発実施について基本的な合意を発表。2013年12月までに、共同開発契約を締結すると明らかにした。
このほど3者が共同開発にあたる新規結核ワクチンは、基盤研の有する、「ヒトパラインフルエンザ2型ウイルスベクター技術」を応用した粘膜ワクチンで、開発が成功すると、同技術を利用した世界初の結核ワクチンとなる。
共同開発にあたる3者のひとつ「クリエイトワクチン」は、大日本住友製薬株式会社(本社:大阪府大阪市、社長:多田 正世)と日本ビーシージー製造株式会社(本社:東京都文京区、社長:萩原 昇)による合弁会社で、今回の新規結核ワクチン合同開発にあたって、その商業化を進めるため、2013年7月31日に設立された。
今回の3者合同開発によって、新規結核ワクチンの誕生が実現されるとなれば、主要課題である(成人に対する)効果的な結核感染予防の大きな前進となり、その研究開発には多くの期待が寄せられている。

「大日本住友製薬株式会社 ニュースリリース」
http://www.ds-pharma.co.jp/