HER2発現の再発・進行性大腸がん患者が対象
第一三共株式会社は、2018年3月8日、HER2に対する抗体薬物複合体「DS-8201」について、大腸がんを対象とした第2相臨床試験を開始したと発表した。
同試験は、HER2発現の再発・進行性大腸がん患者を対象とするものであり、最初の患者への投与が既に開始されている。
限られた治療法しかない再発・進行性の大腸がん
大腸がんは、世界で3番目に多いがん腫。患者の約半数は転移性がんとなり、その場合の予後は悪いといわれている。同疾患の治療は、従来に比べると大幅な改善が見られるが、再発・進行性の大腸がんにおいては今なお限られた治療法しか存在しない。2012年には、136万人の新規患者と69万人の死亡が報告された。
第一三共は、患者のための革新的な治療提供を使命として、世界最先端のサイエンスを応用したがん事業を展開している。日本のがん領域ラボラトリーと米国プレキシコンの強力な研究体制を通じて、開発パイプラインの拡充を推進し、2025年までに7つの革新的新薬の上市を目指しているという。
新しい治療の選択肢となることを期待
抗体薬物複合体は、適切なリンカーを介して抗体医薬と薬物を結合させた医薬群。薬物をがん細胞へ直接届けることで、がん細胞への攻撃力を高め、薬物の全身曝露も抑えた薬剤となっている。HER2は、大腸がん細胞の約3%に過剰発現し、抗EGFR療法への耐性獲得等に関与する可能性が示唆されているタンパク質。大腸がんの治療においては現在、抗HER2療法は存在しない。
第一三共は、他に適切な治療法のない再発・進行性の大腸がん患者にとって、「DS-8201」が新しい治療の選択肢となることを期待しているという。
(画像は第一三共の公式ホームページより)

DS-8201の大腸がん患者を対象とした第2相臨床試験の開始について - 第一三共株式会社
https://www.daiichisankyo.co.jp/news/detail/006821.html