自閉症メカニズムの解明へ貢献
理化学研究所(以下「理研」)は、8月26日、自閉症の新たな候補遺伝子を同定したと発表した。
この成果は、理研脳科学総合研究センター精神生物学研究チームの内匠透シニアチームリーダーらによって構成された国際共同研究グループによるもの。治療薬開発などへの貢献が期待できる成果だという。
豊かな国民生活の実現に寄与
理研は、医科学など広い分野において研究を進めている、日本で唯一の自然科学の総合研究所。産業の発展のため、科学研究と応用研究を行なう財団法人として1917年に創立された。以降、国立研究開発法人となった現在に至るまで、国と時代の要請に応えながら先導的な研究を進めている。
同研究所では、国立研究開発法人のミッションである「研究開発成果の最大化」を目指し、研究者の自律と豊かな発想を大切にしているという。同時に、社会的責任も強く意識し、豊かな国民生活の実現に寄与するとともに、国際社会にも貢献するとしている。
シナプス関連遺伝子「NLGN1」の変異を同定
共同研究グループは今回、自閉症患者から新たに「NLGN1」と呼ばれるシナプス関連遺伝子の変異を同定。患者で発見された変異が「NLGN1」タンパク質の減少などの異常を引き起こしていること、またシナプス形成不全などの機能喪失を引き起こしていることを、明らかにした。
これまでも、「NLGN」およびその結合分子のからなる「NLGN-NRXN-Shank」経路の異常は、自閉症の発症において重要であると考えられてきた。共同研究グループは、今回の成果がその仮説を裏付けるものであるとする。そして、「NLGN-NRXN-Shank」経路を標的とした治療薬の開発や、自閉症のメカニズムの解明につながることを期待しているという。
(画像はプレスリリースより)

自閉症の新たな候補遺伝子 シナプス関連遺伝子NLGN1の変異が原因となる可能性 - 理化学研究所
http://www.riken.jp/pr/press/2017/20170826_1/