「βヒドロキシ酪酸(BHB)」に抗うつ作用がある
国立大学法人鳥取大学医学部付属病院は、8月24日、抗うつ効果を持つ新たな物質を発見したと発表した。
この成果は、同大医学部精神行動医学分野・兼子幸一教授らのグループによるもの。同グループは今回、人の体内で作られる「βヒドロキシ酪酸(BHB)」に、抗うつ作用があることを発見。従来とは異なる作用機序によるうつ病の予防・治癒が、期待できる成果だという。
BHBを投与したラットでは抑うつ的な行動が減弱
現在使用されているうつ病治療薬は、神経と神経のつなぎ目であるシナプスにおいて「モノアミン」という物質を増やすことが、主作用となっている。しかし一部の患者では、こうした薬剤が十分な効果を発揮しない。新たなメカニズムに基づいた抗うつ治療法の開発が、課題となっていた。
脳内の炎症性物質は、うつ病の病態に関与していることが、多くの研究で示唆されている。炎症性物質を抑えることがうつ病の治療となる可能性があるとして、同グループは今回、うつ病モデルラットに対しBHBを投与し、行動を評価した。BHBは、糖分が不足した際に体内で作られる物質の一種であり、炎症を抑える作用があることが、近年報告されている。
結果、BHBを投与したラットでは、抑うつ的な行動が減弱することが発見された。BHBには抗うつ作用がある可能性が示唆されたと、同グループはしている。
臨床的に応用できる方法を模索
同研究では、BHBがストレス時の有害な物質の増加を抑える作用を持ち、抗うつ作用を発揮することも示唆された。難治性うつ病といわれる患者は、体内の炎症性物質が高いともいわれており、従来の抗うつ薬で改善を認めない患者への効果がBHBには期待できると、同グループはする。
同グループは今後、BHBによる抗うつ治療を臨床的に応用できる方法を模索し、研究を進めるとしている。
(画像はプレスリリースより)

抗うつ効果をもつ新たな物質を発見 - 国立大学法人鳥取大学医学部付属病院
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