「LC-SCRUM-Japan」研究の成果
国立研究開発法人 国立がん研究センターは、8月18日、ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発非小細胞肺がん(以下「ROS1肺がん」)に対する治療薬として、分子標的薬「クリゾチニブ」の適応拡大が承認されたと発表した。
同センターは、全国肺がん遺伝子診断ネットワーク「LC-SCRUM-Japan」を活用した研究が実施しており、今回の適応拡大もその成果であるとしている。
新しい治療法の開発が必要とされている
肺がんの約85%を占める非小細胞肺がんでは、約3分の2の患者が手術不能の進行がんとして発見される。患者は、抗がん剤による薬物治療や放射線治療などを受けることになるが、その治療効果は充分ではなく、より有効な新しい治療法の開発が必要とされている。
こうした状況において「LC-SCRUM-Japan」は、全国の肺がん診療施設から参加を募り、ROS1を含む複数の希少な遺伝子変化の有無を、患者の同意を得た上で無料で調べている。また同ネットワークは、ROS1肺がんに対する「クリゾチニブ」の臨床試験にも参加。この試験結果をもとに同剤は、ROS1肺がんに対する治療薬として承認された。
診断薬開発も「LC-SCRUM-Japan」のデータ活用
今回の国立がん研究センターによる発表では、ROS1融合遺伝子検出のための体外診断用医薬品が、「クリゾチニブ」による治療におけるコンパニオン診断薬として承認されたことも明らかにされた。同診断薬開発においても、「LC-SCRUM-Japan」におけるROS1融合遺伝子検査のデータは活用されているという。
同センターは今回の承認について、肺がん患者の長期生存あるいはQOLの向上や維持に、大きく寄与するものとしている。
(画像はプレスリリースより)

ROS1融合遺伝子陽性の肺がんに対する治療薬と診断薬が保険適用として承認 - 国立研究開発法人 国立がん研究センター
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