海馬内に記憶を思い出すための神経回路を発見
理化学研究所(以下、理研)は8月18日、記憶を思い出すための神経回路を発見したことを発表した。
記憶は脳の海馬にある「エングラム細胞」に貯蔵し、活性化することで思い起こされる仕組みになっていることが知られているが、まだその詳細は明らかとなっていない。
理研と脳科学研究センターなどの共同研究チームは、海馬の背側海馬支脚を経路する回路の働きを調べるために、光感受性タンパク質を背側海馬支脚の特定の神経細胞群に発現させて、光を当てて活性化させたり、緑色光を当てて抑制したりできるマウス(以下、dsub-eArchマウス)を作製。
記憶障害の治療法につながる可能性
普通のマウスを特定の箱に入れて脚に電気ショックを与え、翌日同じ箱に入れると前日のことを思い出し脚がすくむが、同じようにショックを与えたこのdsub-eArchマウスに、緑色光を当てて抑制させたところ、前日の記憶を思い出さず、脚がすくむことはなかったという。
また、dsub-eArchマウスに電気ショックを与えてる最中に緑色光を当てて抑制させても、記憶形成に問題はないこともわかった。
さらに、背側CA1からつながる直接回路と背側海馬支脚を経路する間接回路を別々に抑制した結果、直接回路は記憶の書き込み、また間接回路は記憶を思い出すために重要であることがわかったとしている。
共同研究チームは、このことから今後、研究が進めば記憶障害の治療法につながる可能性があるとしている。
(画像は理化学研究所HPより)

理化学研究所 プレスリリース
http://www.riken.jp/pr/press/2017/20170818_2/