ビタミンに深く関連する物質、Na2PQQ
理化学研究所と三菱ガス化学株式会社、そして立教大学の3者は、8月8日、ピロロキノリンキノン二ナトリウム(以下「Na2PQQ」)の溶解メカニズムを解明したと発表した。
この成果は、3者の共同研究グループによるもの。Na2PQQはビタミンに深く関連する物質であり、その溶解メカニズムは薬剤の作用に関わる重要な課題とされている。
Na2PQQ結晶の方が圧倒的に溶けやすい
ピロロキノリンキノン(以下「PQQ」)は、1979年に発見され、栄養学的知見からビタミンの候補として考えられてきた。2003年には、理化学研究所の研究チームが新しいビタミンとして機能していることを解明。Na2PQQは、商品化も行われている。
しかし、Na2PQQが体内でどう溶解するのかについては、これまで詳細が分かっていなかった。同研究グループは今回、PQQとその5種類のナトリウム塩の結晶を作製し、X線結晶構造解析によって全ての結晶構造を決定。また、酸性水(人工胃液)に対する分子性結晶PQQとイオン結晶Na2PQQの溶けやすさを調べたところ、Na2PQQ結晶の方が圧倒的に溶けやすいことが明らかとなった。
高齢者の健康維持につながる技術
さらに同研究グループは、量子化学計算により二つの結晶の分子配向を解析し、それをもとにした分子動力学計算によりNa2PQQ結晶の分子レベルでの溶解シミュレーションを実施。結果、最初に結晶中の一部のNa+が外に分離し、それに伴って外側のPQQ2-が分離され始めることにより、溶解が始まることを解明した。
同研究グループはこの成果について、医薬品の開発に応用されることで、薬の服用が多い高齢者の健康維持につながる技術としての貢献が期待できるとしている。
(画像はプレスリリースより)

ピロロキノリンキノン二ナトリウムの溶解メカニズムを解明 - 理化学研究所
http://www.riken.jp/pr/press/2017/20170808_1/