産官学共同研究グループによる開発
国立研究開発法人国立がん研究センターは、8月7日、直腸がん術後の吻合部の減圧をはかる新型ドレーンを開発したと発表した。
この成果は、国立がん研究センターと村中医療器株式会社、そして株式会社産学連携研究所らの産官学共同研究グループによるもの。
吻合部から腸液が漏れる縫合不全を防ぐ
直腸がんの手術においては、患部周辺組織の肛門部までを切除する。この切除は、術後における患者のQOL低下を招く。そのため、近年では低位前方切除術などの手術で肛門を温存することが多くなってきたが、術後合併症として吻合部から腸液が漏れる縫合不全が発症するという問題があった。
縫合不全は、吻合部が治癒するまでの間に直腸内のガスや便により腸管内圧が高まることが、一因とされている。縫合不全防止にあたっては、ドレーンを経肛門的に留置する手技が多く行われているが、使用するドレーンにより腸管せん孔などの不具合が起こる可能性があった。
この問題を解消すべく産官学連携研究グループは、「次世代療機器開発会議『NEXT』」において新しいドレーンの研究開発を行った。
直腸がん手術の治療成績改善につながる可能性も
今回開発された新型ドレーンは、術後の腸管減圧に特化しており、ドレーン留置に伴って起こる不具合を少なくする構造になっている。ドレナージ効率が良く、縫合不全や腸管せん孔などの合併症を減らせる可能性もあるという。
国立がん研究センターはこの開発が、患者の生活の質を高めるのみならず、直腸がん手術の治療成績改善につながる可能性もあるとしている。
(画像はプレスリリースより)

直腸がん術後の吻合部の減圧をはかる新型ドレーンを開発 - 国立研究開発法人国立がん研究センター
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