世界10カ国から総計489症例の症例を集積
国立研究開発法人 国立がん研究センターは、8月3日、胆道がんについて世界横断的・最大の分子統合解析を実施したと発表した。
この解析は、国際共同がんゲノムプロジェクト「国際がんゲノムコンソーシアム」において、シンガポールのグループと共同で実施されたもの。世界10カ国から総計489症例の胆道がん症例について、分子データ(ゲノム・エピゲノム・発現データ)を集積し、統合的解析が行われている。
4つの分子タイプグループに分類できる胆道がん
胆道がんは、日本をはじめアジアに多いがん。膵がんに次いで、予後が不良な難治がんとされている。同疾患は、胆石や胆嚢・胆管炎など胆道系疾患の罹患や、肝吸虫という寄生虫の感染で、罹患リスクが上昇することが知られる。しかし、こうした因子がどのようにがんを発症するのかに関する分子メカニズムは明らかになっていなかった。
今回「国際がんゲノムコンソーシアム」が実施した分子統合解析により、胆道がんにおけるゲノム・分子異常の解明は大きく前進した。解析の結果、胆道がんは大きく4つの分子タイプグループに分類でき、各グループに特徴的な治療標的となりうるゲノム・分子異常、臨床的な背景や予後の違いがみられることが判明。また、グループごとに治療法を最適化していくことが必要であることが示唆されたという。
2つの発症メカニズムが同定された
今回の解析では、これまで明らかになっていなかった胆道がん発症の分子メカニズムについても、2つの発症メカニズムが同定されている。 国立がん研究センターは、この研究成果が胆道がんのゲノム・分子異常の解明が大きく前進させ、遅れていた胆道がんのゲノム医療の促進に貢献するとしている。
なお同研究は、日本医療研究開発機構(AMED)革新的がん医療実用化研究事業、次世代がん医療創生研究事業(P-CREATE)の支援を受け実施されている。
(画像はプレスリリースより)

胆道がんで世界横断的・最大の分子統合解析実施 - 国立研究開発法人 国立がん研究センター
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