世界初の成果
岡山大学は、7月19日、同学自然生命科学研究支援センター・加藤百合特任助教らの共同研究グループが、骨粗鬆症治療薬クロドロン酸が慢性疼痛に効力を発揮するメカニズムを解明したと発表した。
この解明は、世界初の成果だという。共同研究グループは、同大および松本歯科大学・久留米大学・東北大学・九州大学・東京農業大学・味の素株式会社のメンバーによって構成されている。
効果的な鎮痛薬はこれまで存在しなかった
がん・糖尿病・HIVといった疾患において生じる神経因性疼痛や、がん・痛風・リウマチなどによる末梢の炎症が原因となる炎症性疼痛は、耐え難い苦痛をもたらす慢性疼痛として知られる。これら疼痛の管理は、臨床において重要な課題となるが、副作用が少なく効果的な鎮痛薬はこれまで存在しなかった。
骨粗鬆症治療薬であるビスホスホネート製剤は、作用メカニズムが不明ではあるものの、骨疾患の罹患者に対し複数の鎮痛効果を発揮することが報告されている。同研究グループは今回、このメカニズムの解明に挑んだ。神経伝達の起点となる伝達物質の分泌機構に着目し、この分泌に必須である小胞型神経伝達物質トランスポーターをビスホスホネート製剤が阻害するかを検証している。
今後さまざまな難治性疾患に関して効果を探索
検証の結果、第一世代のビスホスホネート製剤であるクロドロン酸は、小胞型ヌクレオチドトランスポーターを阻害し、神経細胞からのアデノシン三リン酸放出を遮断することが明らかになった。
同研究グループは、今後さまざまな難治性疾患に関してクロドロン酸の治療効果を探索することで、さらなる研究の発展が期待されるとしている。
(画像はプレスリリースより)

骨粗鬆症治療薬クロドロン酸が慢性疼痛に効く 作用メカニズムを世界で初めて解明 - 岡山大学
https://www.okayama-u.ac.jp/