遺伝子産物とその機能を予測/同定
理化学研究所は2017年7月25日のプレスリリースで、理研を中心として組織した国際共同研究グループが、出芽酵母の「化学遺伝学アプローチ」を用いて化合物(薬剤)の標的分子を予測/同定する方法を開発したと発表した。
国際共同研究グループは、出芽酵母の遺伝子破壊株セットについて化合物の感受性を測定し、その情報を「合成致死性」の遺伝子データベースと照合することにより、化合物が標的とする遺伝子産物(タンパク質)とその機能を予測/同定できることを示した。
さらに、この簡便な化学遺伝学アプローチと「バーコードシークエンス法」を組み合わせることにより、数百の化合物の標的分子予測/同定を迅速に効率よく行う方法も確立した。
ヒト細胞を活用した創薬研究の貢献に期待
国際共同研究グループは、この方法で理研の天然化合物バンク(NPDepo)、米国の国立衛生研究所(NIH)及び国立がん研究所(NCI)の化合物ライブラリーなど、合計7つの化合物ライブラリーが所蔵する化合物13,524個のスクリーニングを実施し、出芽酵母遺伝子との相関プロファイルを作成して、化合物の標的機能の注釈(アノテーション)付けと化合物の標的分子の予測評価を実施した。
今回開発した化学遺伝学アプローチによる化合物の標的分子機能を予測/同定する方法は、出芽酵母細胞を用いた偏りのない方法であり、迅速に多数の化合物の機能を一気に予測/同定することが可能となる。
また、出芽酵母のみならず、大腸菌、分裂酵母などの微生物、さらには動物細胞でも同様に活用可能で、ヒト細胞を用いれば、新しい有用薬剤の発見など創薬研究に貢献することが期待できる。
(画像はプレスリリースより)

理化学研究所プレスリリース
http://www.riken.jp/pr/press/2017/20170725_1/理化学研究所
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