軽度から中等度のアルツハイマー型認知症治療薬「T-817MA」
富士フイルム株式会社(以下、富士フイルム)は7月19日、アルツハイマー型認知症(以下、AD)治療薬「T-817MA」について、米国第2相臨床試験における臨床効果を、統計学的有意差をもって確認したと発表した。
「T-817MA」は、富士フイルムグループの富山化学工業が見出した、軽度から中等度のアルツハイマー型認知症患者を対象としたAD治療薬。同剤は強力な神経細胞保護効果と神経突起伸展促進効果を有し、病態動物モデルでも高い治療効果を示している。
アルツハイマー型認知症主要原因物質の減少も確認
米国第2相試験では、患者全体の中央値を2.6年以内とする罹病期間が短い患者群で、認知機能低下の進行を大幅に抑制した。
また、脳脊髄液評価対象患者においては、ADの主要な原因物質であるリン酸化タウ(以下p-Tau)が減少。
MRIの2次元画像をもとにコンピューター処理により体積を測定する、Volumetric MRI評価対象患者全体では、大脳の記憶に関係が深い領域である海馬の萎縮に抑制傾向が確認された。
富士フイルム、第3相臨床試験に向け検討進める
富士フイルムのニュースリリースでは、マサチューセッツ総合病院神経科副理事のRudolph Tanzi博士による研究結果も報じている。
Rudolph Tanzi博士の研究は、ADのリスク遺伝子を発現させたミクログリア細胞に対する「T-817MA」の効果を確認したもの。この研究により「T-817MA」がミクログリア細胞に作用し、アミロイドβ(以下Aβ)の排除を促進することが明らかにされた。
富士フイルムは、米国第2相臨床試験及びRudolph Tanzi博士による研究の結果は、「T-817MA」がADの主要原因物質であるp-TauやAβに作用し、ADの病態の改善に関与することを示唆するものとし、今後は規制当局との米国第2相臨床試験結果について協議し、第3相臨床試験に向け検討を進めていくとしている。
(画像は富士フイルム株式会社 ホームページより)

富士フイルム株式会社 ニュースリリース
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