CDKL5欠損が大脳の興奮性を異常亢進させる
東京大学大学院医学系研究科・医学部は、7月21日、CDKL5欠損が大脳の興奮性を異常亢進させるメカニズムの一端を解明したと発表した。
CDKL5は、小児の難治性てんかん症候群の原因遺伝子。この成果は、東大大学院医学系研究科発達医科学分野・田中輝幸准教授らが行った共同研究によるもの。
発症機序はこれまで全く不明だった
CDKL5遺伝子の変異は、ウエスト症候群/レット症候群という小児の難治性てんかん症候群を引き起こす。しかし、その発症機序はこれまで全く不明だった。
今回の研究では、その発症機序を探るべく、CDKL5を欠損させたCdkl5ノックアウト(KO)マウスを作製。このマウスでは、大脳の興奮性シナプスにおいて興奮性神経伝達物質を受け取る受容体の一型が、過剰集積されていた。そしてこの過剰集積により、ニューロンの興奮性が亢進し、痙攣感受性が異常亢進することが明らかになった。
治療法開発への重要な基盤となるもの
同研究はさらに、過剰集積する受容体蛋白に対する阻害薬が、CDKL5欠損マウスのニューロンの興奮性と痙攣感受性の亢進を効果的に抑制することを発見。これらの成果は、興奮性シナプス受容体を構成する蛋白質に特異的に作用する薬物が、CDKL5 変異によるてんかんの治療原理となる可能性を示すものだという。
同大は今回の成果について、小児難治性てんかんの治療法開発への重要な基盤となるものとしている。
(画像はプレスリリースより)

CDKL5の欠損が大脳の興奮性を異常亢進するメカニズムの一端を解明 - 東京大学大学院医学系研究科・医学部
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