パーキンソン病の一種、ペリー症候群
順天堂大学は、6月22日、ペリー症候群においてみられる神経軸索変性による神経機能不全について、改善する方法を開発したと発表した。
この成果は、同学大学院医学研究科神経学・服部信孝教授、パーキンソン病病態解明研究講座・今居譲先任准教授の研究グループによるもの。ペリー症はパーキンソン病の一種。
治療法は未だ見つかっていない
ペリー症候群は、パーキンソン病において特徴的な運動症状に加えて、うつや無気力などの精神症状、呼吸機能の低下を呈し、最終的には突然死を起こす難治性の遺伝性神経変性疾患。ドーパミンの補充により症状は改善するが、進行を止める治療法は未だ見つかっていない。
同研究グループは、ペリー症候群の神経でどのような障がいが起こっているかを解明すべく、同疾患モデルのショウジョウバエを作製した。
このモデルは、神経の機能不全からくる運動障がいを示し、寿命が短縮。神経細胞の状態を詳細に解析したところ、逆行性の神経軸索輸送が顕著に障がいされ、神経終末構造の肥大が起こっていることがわかった。さらに、逆行性の神経軸索輸送が滞ることで、有芯小胞が凝集化し、その結果としてドーパミン分泌が低下することが明らかになっている。
臨床応用のための研究を進める
モデル動物での研究結果から同研究グループは、神経細胞内のTDP-43タンパク質を減らすと有芯小胞の凝集化が抑えられ、ドーパミン分泌が改善できたことを重視。TDP-43の発現をコントロールすることにより、ペリー症候群の進行を抑えることができる可能性を見いだしたとしている。
同研究グループは今後も、臨床応用のための研究を進めるとしている。
(画像はプレスリリースより)

神経軸索変性による神経機能不全の改善に成功~ペリー症候群の治療法確立へ前進~ - 順天堂大学
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