エクソソームの若返りが、がん抑制効果に
東京医科大学は6月16日、細胞が分泌する細胞外小胞の1種、エクソソームを若返らせることで多発性骨髄腫の血管新生抑制に効果が認められたことを発表した。
がんの発症は免疫力の低下、加齢による生体防御機構の機能低下によって増加すると考えられており、また、健康な人のエクソソームにはがん細胞の抑制効果があることが知られている。
東京医科大学は、エクソソームのがん抑制効果が加齢による影響を受けている可能性があることから、エクソソームのがん抑制効果、またエクソソームの年齢による差があるかをマウスを使った研究を実施した。
新たながんの次世代細胞治療につながる可能性
マトリゲルという透明なゲルに、低酸素耐性多発性骨髄腫細胞株(以下、骨髄腫細胞株)と若年者エクソソームを合わせたものを接種したマウスと、骨髄腫細胞株と高齢者エクソソームを接種したマウス、またエクソソームを加えないマウスを比較。
エクソソームを加えないマウスではがん腫瘍細胞が充満しており、エクソソームを加えているマウスでは変化がなく、がん腫瘍細胞を抑制していることが認められたという。
しかし、よく観察すると、高齢者のゲルに若干、がん腫瘍細胞の育成が見られたため、若年者エクソソームに多く含まれている特定のマイクロRNAを導入したところ、高齢者エクソソームにも若年者エクソソームと同程度のがん抑制効果が得られることが明らかとなった。
このことから、東京医科大学はエクソソームによる新たながんの次世代細胞治療につながる可能性があるとしている。
(画像はプレスリリースより)

東京医科大学 プレスリリース
http://www.tokyo-med.ac.jp/170616Press.pdf