脳の病気の解明などに期待が持てる
大阪大学は、6月22日、脳全体を高速・精細に観察できる新技術を開発したと発表した。
この成果は、同学大学院薬学研究科・橋本均教授らの研究グループによるもの。脳の病気の解明などに期待が持てると共に、精神・神経疾患の創薬への橋渡し研究としても期待できる成果だという。
従来よりも数十倍高速、神経線維まで観察
同研究グループが今回成功したのは、脳の細胞や神経線維レベルの微細な構造まで識別できる分解能で、マウスや非ヒト霊長類の脳全体を高速に観察できるイメージング装置「FAST」の開発。
認知・精神活動など様々な機能を制御する脳は、極めて多数の細胞で構成され、領域や神経回路ごとに異なる機能が担われている。そのため、脳全体を細胞レベルで捉える研究は、現状では技術的に困難とされていた。
同研究グループは、この問題の解決を目指し、「FAST」を開発。従来よりも数十倍高速であり、神経線維まで観察することが可能なシステムを実現している。
米国科学誌『Neuron』にも掲載
「FAST」はその速さを活かすことで、正常なマウスと疾患モデル動物の脳構造比較や、ヒトの脳(死後脳)の高速・高精細イメージングも可能にするという。同研究グループは、精神・神経疾患の治療薬の開発に向けた橋渡し研究などへの応用が、「FAST」において実現することを期待している。
なおこの研究成果は6月21日、米国科学誌『Neuron』にも掲載されている。
(画像はプレスリリースより)

脳全体を高速・精細に観察できる新技術を開発 - 大阪大学
http://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2017/20170622_1