がん細胞を正常細胞と区別し見分ける
理化学研究所は、6月2日、細胞内アミド化反応を利用してがん細胞を正常細胞と区別し見分けることに成功したと発表した。
この成果は、理研田中生体機能合成化学研究室・田中克典主任研究員と、ケンワード・ヴォン基礎科学特別研究員らの共同研究チームによるもの。
細胞内での存在量がバイオマーカーに
細胞内には、複数個の1級アミンを持つポリアミンという分子が存在する。このポリアミンは、がん細胞など増殖が盛んな細胞においては、過剰に生産される。そして、タンパク質合成や細胞分裂に深く関与することが知られている。
この作用からポリアミンは、細胞内での存在量ががん細胞を識別する指標(バイオマーカー)になり得ると考えられてきた。
共同研究チームは今回、プロパルギルエステルがポリアミンと選択的に反応することで、アミド結合が効率的に形成されることを発見。がん細胞を正常細胞と区別して見分けることに成功した。
創薬分子の選択的導入が可能に
生体内に存在する生体内アミンの中から、ポリアミンだけを選択的に反応させることは、これまで不可能だった。同研究チームは、プロパルギルエステルによるアミド化反応を用いることで、様々な機能性分子や創薬分子を選択的に導入することが可能になるとしている。
なおこの成果は、英国の科学雑誌『Chemical Communications』オンライン版に、5月31日付で掲載された。
(画像はプレスリリースより)

がんを見分ける細胞内アミド化反応 生体内での有機合成反応によるがん診断や治療法に期待 - 理化学研究所
http://www.riken.jp/pr/press/2017/20170602_2/