AMED革新的先端研究開発支援事業の一環
慶應義塾大学医学部は、5月23日、免疫細胞を若返らせて強い抗腫瘍効果を持つ細胞を作製することに成功したと発表した。
この成果は、同学部・吉村昭彦教授らと武田薬品工業のグループが、AMED(国立研究開発法人 日本医療研究開発機構)革新的先端研究開発支援事業の一環として達成したもの。
未感作T細胞(ナイーブT細胞)に近い状態へ
免疫細胞、なかでもT細胞は、異常ながん細胞の排除において非常に重要な作用を持つ。近年は、抗PD1抗体のように免疫チェックポイント分子を阻害することが、ある種のがん治療において有効であることに、注目が集まっている。
しかしT細胞は、がん組織や試験管内で何度も刺激を受けると、疲弊状態に陥る。疲弊状態に陥ったT細胞は、がん細胞を攻撃する力が弱まり、十分な治療効果を発揮することができない。
そこで今回の研究では、長時間活性化され過ぎて疲弊化したT細胞を、生まれたての状態である未感作T細胞(ナイーブT細胞)に近い状態へ戻す方法の開発が行われた。
早期にがん治療へ応用できることが期待
研究グループは、がん特異的なT細胞に対して「Notch」というある特殊な刺激を入れると、疲弊状態のT細胞が未感作に近い状態へと転換できることを発見。この細胞は、ヒトT細胞から作成が可能であり、強い抗腫瘍効果も発揮したという。
研究グループはこの成果について、がん治療への早期応用が期待できるものであり、また一般的な細胞の「若返り」の方法の開発とメカニズムの解明につながるものであるとしている。
(画像はプレスリリースより)

免疫細胞を若返らせ、強い抗腫瘍効果をもつ細胞の作製に成功 - 慶應義塾大学医学部
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