山縣一夫准教授らの研究グループによる成果
学校法人近畿大学は、5月24日、受精卵のエピゲノム編集に世界で初めて成功したと発表した。
この成果は、同大生物理工学部伝子工学科・山縣一夫准教授らの研究グループによるもの。新たな遺伝子治療などへの応用に期待が持てる知見だという。
マウス受精卵にDNAメチル化を効率的に導入
人間の身体を構成する細胞は、全て同じ遺伝情報すなわちゲノムを核内に持つ。ゲノムを「設計図」と呼ぶ場合、「エピゲノム」は部品の採用不採用を記した「付箋」のような存在であると、同大はする。細胞は、「設計図」をもとに「付箋」の情報を集約することで完成する。
エピゲノムの一つがDNAメチル化であり、正常な個体の発生にあたり重要な役割を果たすことが知られている。今回の研究では、ゲノム編集技術と細菌由来の酵素遺伝子を利用し、マウス受精卵に対してこのDNAメチル化情報を書き込むことに、世界で初めて成功。受精卵にDNAメチル化を効率的に導入することが可能であることを、明らかにした。
安定したDNAメチル化導入効果が期待できる
従来のエピゲノム編集で使用されてきた哺乳動物由来のDNAメチル化酵素は、協調して働く分子を必要とした。しかし同研究で作製された細菌由来の人工酵素は、単独で機能する。そのため、他の生体作用の影響を受けずに安定したDNAメチル化導入効果が期待できるという。
同研究グループは今回の成果について、細胞分化の制御や配列を書き換えない遺伝子治療などに応用できる可能性があるものとしている。
(画像はプレスリリースより)

世界初!受精卵のエピゲノム編集に成功 - 近畿大学生物理工学部
http://www.waka.kindai.ac.jp/topics/20170524.html