DNA複製機構を理解・制御する上で重要な知見
東北大学は、5月26日、DNA上の「ドーナッツ分子」を維持する仕組みを解明したと発表した。
この成果は、同大学際科学フロンティア研究所・大学保一助教授らが、英サセックス大学・名古屋大学・長崎大学の研究者と共同で行った研究によるもの。がん細胞などが活発に増殖するDNA複製機構を理解・制御する上で、重要な知見だという。
あらゆる生物が精巧なDNA複製のシステムを持つ
生体の遺伝情報が記述されたゲノムDNAは、細胞が増殖する際、正確かつ高速にコピーされる必要がある。そのため、あらゆる生物が精巧なDNA複製のシステムを持つ。
DNA複製の際には、様々な酵素が機能する必要がある。中でも「複製クランプ」は、多くの酵素のDNA上での足場となり、酵素の効率的な働きに必要不可欠なものとなっている。
この「複製クランプ」は、ドーナッツ状の構造をとり、糸に通した輪のようにDNA上を移動することができる。そして、「複製クランプ」と共にDNAを合成する酵素もスライドし、スムーズなDNA合成が可能となる。
今後のDNA複製研究の発展にも大きく寄与
研究チームは今回、この「複製クランプ」が担う分子修飾の新たな役割を明らかにした。
研究では分裂酵母を使用し、小さなタンパク質による「複製クランプ」の修飾が、DNA複製を滞りなく実施するために重要な現象であることを確認。その要因となる細胞の仕組みも、明らかにしている。
研究チームはこの知見が、がん細胞などが活発に増殖する細胞におけるDNA複製機構の理解・制御にとって重要であり、また今後のDNA複製研究の発展に大きく寄与するものとしている。
(画像はプレスリリースより)

DNA上の「ドーナッツ分子」を維持する仕組みを解明 - 東北大学
http://www.tohoku.ac.jp/