iPS細胞研究所研究員らの研究グループが開発
京都大学は、5月22日、細胞内のタンパク質を検出できる合成mRNAスイッチを開発し、ヒトiPS細胞の識別に成功したと発表した。
この成果は、iPS細胞研究所研究員・川崎俊輔氏、同教授・齊藤博英氏らの研究グループによるもの。
これまで困難だった内在タンパク質の検出
細胞の状態は、様々な生体分子で調整されている。中でもタンパク質は、ゲノム発現や細胞シグナルの伝達、また細胞運命の調整など、重要な役割を担う。そのため、細胞内のタンパク質を検出して遺伝子発現をコントロールすることが可能になれば、細胞をその状態に応じて制御できる革新的な技術となる。
しかし、生きた細胞の目印となる内在のタンパク質を検出することは、これまで困難だった。そこで同研究グループは、「LIN28A」といったヒトの内在タンパク質を高感度で検出できる合成mRNAスイッチを、新たに開発。細胞内でタンパク質に結合するRNAの構造を安定化することで、細胞に内在するタンパク質と効果的に反応することを確認している。
がん細胞の識別も期待できる
同研究グループはさらに、幹細胞で高発現している「LIN28A」の発現レベルを定量することにより、ヒトiPS細胞やiPS細胞から分化した細胞を生きたまま見分けることに、初めて成功した。
「LIN28」タンパク質の発現量は、多くの疾患やがんなどと相関がある。「LIN28」を検知するmRNAスイッチは、将来的にはiPS細胞の識別のみならずがん細胞の識別などにも使われることが期待できると、同研究グループはしている。
(画像はプレスリリースより)

細胞内のタンパク質を検出できる合成mRNAスイッチの開発:ヒトiPS細胞の識別に成功 - 京都大学
http://www.kyoto-u.ac.jp/