オレキシン2型受容体の欠損が原因
筑波大学は5月16日、深刻な睡眠障害として知られるナルコレプシーの症状である情動脱力発作(カタプレキシー)を抑制する治療薬候補に新たな効果があることを発表した。
ナルコレプシーは、非常に強い眠気やカタプレキシーを引き起こし、日常生活に影響を及ぼす疾病で、確立した治療法はまだ見つかっていない。
マウスを用いた研究では、視床下部にある神経伝達を司るペプチドであるオレキシン2型受容体が欠損することでナルコレプシーが発症することが認められている。
様々な睡眠障害を改善する治療薬の開発にも期待
筑波大学の研究グループは、オレキシンに抑制効果が期待できるものの、脳内の大切な機能である血液脳関門が通過させないことから、オレキシン受容体作用薬の開発に取り組み、2015年にオレキシン受容体作用薬となり得る化合物YNT-185を創出することに成功。
オレキシン受容体を発現させたマウスの脳内に投与したところ、活動期の覚醒期間が増え、リバウンドを起こさないことも判明した。
また、腹腔内や静脈、経口からの投与でも同様に効果が現れたことから、YNT-185が血液脳関門を通過することを確認できたとしている。
しかし、オレキシン受容体が欠損したマウスではこの作用が認められなかったことから、YNT-185がオレキシン受容体を介して作用することが明らかとなったという。
同研究グループは今後、ナルコレプシーを含む様々な睡眠障害を改善する治療薬の開発につながるとしている。
(画像はプレスリリースより)

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