名大と東大が共同で開発研究
名古屋大学と東京大学は、5月16日、治療抵抗性に関わるがん進化の分類を行う解析手法を開発したと発表した。
この開発研究は、名古屋大学大学院医学系研究科システム生物学分野の松井佑介特任助教と島村徹平特任准教授が、東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターの宮野悟教授らのグループと共同で実施したもの。
遺伝子変異を蓄積しながら進化するがん
がんは、一つの正常な細胞が遺伝子変異を蓄積しながら進化し、異常増殖することで発生すると考えられている。
この遺伝子変異の組み合わせは、患者ごとに異なる。また患者一人ひとりの中でも、異なる遺伝子変異の組み合わせを持つサブクローンと呼ばれる細胞集団が存在する。
治療背景の異なるがん細胞のサブクローン進化の構造が、どのように異なるのかを理解することは、がん治療において重要となる。
新しい治療法開発の基盤に
今回の研究では、一検体のがんにおける複数の異なる部位の遺伝子変異を、次世代シークエンサーを用いて調査。検体内においてサブクローンがどのような過程で進化したかを推定し、多数検体から得られるサブクローン進化の違いを定量化した。
この定量化により、サブクローン進化の類似性に基づいて対象群をクラスタリングする解析手法を開発している。新しい治療法開発や治療戦略における基盤となることが期待される成果だという。
(画像はプレスリリースより)

治療抵抗性に関わるがん進化を分類する解析手法の開発 - 東京大学医科学研究所
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/files/170516j.pdf