がんや難治性炎症疾患の治療応用に期待
東京医科歯科大学は、5月17日、同大難治疾患研究所生体防御学の樗木俊聡教授らによって構成される研究グループが、ヒト単球のみを生み出す源の細胞を発見したと発表した。
この成果は、ヒト単球分化経路を初めて解明したことに加えて、がんや難治性炎症疾患の治療への応用が期待されるものだという。
病態の進展・増悪化に関与する単球
単球は、がん発生や炎症に伴って血中から当該組織に入り込み、マクロファージに分化した後に疾患病態の進展・増悪化に関与する。
がん組織に入った単球は、腫瘍関連マクロファージ(TAM)として、がん細胞の増殖・浸潤・転移を直接促す因子を放出。また、がん細胞を破壊するキラーT細胞をはじめとする免疫細胞の働きを抑制することにより、がん細胞監視機構を麻痺させる。
しかし単球は、ヒトにおいてどの様な細胞から作られるのかなど、多くの点が不明だった。当該細胞を起点とした単球分化経路が明らかになると、がんなどの治療戦略に活路が見いだせるため、その同定が急がれていた。
製薬企業と共同で治療薬を探索
同研究グループは今回、臍帯血または骨髄細胞を用いて様々な表面分子のスクリーニングを行った後に、ヒト単球の源であるcMoPの同定に成功。同細胞を起点としたヒト単球の分化経路を明らかにした。
同研究グループは、このヒトcMoPを標的とした新規治療法の開発が期待できるとして、現在は製薬企業との共同研究で治療薬の探索を進めているという。
(画像はプレスリリースより)

がん悪化や炎症を主導するマクロファージの源となる細胞を発見 - 東京医科歯科大学
http://www.tmd.ac.jp/press-release/20170517/index.html