国内初の試み
国立研究開発法人国立がん研究センターは、5月10日、免疫チェックポイント阻害剤「ニボルマブ」の小児がん対象治験を医師主導で開始すると発表した。
同試験は、小児期およびAYA(思春期・若年成人)世代のがん患者のうち、標準的な治療に抵抗性の難治悪性固形腫瘍とホジキンリンパ腫を対象として実施されるもの。国内初の試みだという。
小児における安全性を確認
小児がんは、個々のがんが極めて希少な疾患であり、患者数も少ない。そのため、製薬企業による新薬の臨床試験がほとんど進まないことが、課題だった。
こうした状況へ対応すべく国立がん研究センターは、成人向けの薬剤を小児まで適応拡大させるといった目的で、小児がん対象の医師主導治験を積極的に実施している。
「ニボルマブ」は、その作用のメカニズムから、小児においても成人同様に複数のがん種への効果が期待されている薬剤。今回開始される同剤の試験では、小児における安全性を確認し、有効性が期待できるがん種に対しては薬剤開発を進めるとしている。
新しい薬剤開発のモデルとなる可能性
同試験の結果から「ニボルマブ」の小児承認取得まで結びつけることができた場合、選択肢の少ない小児悪性固形腫瘍患者における非常に有望な治療選択肢となると、同センターは期待する。また、症例数の少ない小児がんの領域において、医師主導の新しい薬剤開発のモデルとなる可能性についても、期待している。
なお同試験は、小野薬品工業株式会社より資金援助および薬剤提供を受けて実施される。
(画像は国立がん研究センターの公式ホームページより)

ニボルマブで国内初の小児がん対象治験を医師主導で開始 - 国立研究開発法人 国立がん研究センター
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