新たな核酸医薬品の開発に期待
東京工科大学大学院バイオニクス専攻・杉山友康教授らの研究グループは、4月27日、プログラムされた細胞死(アポトーシス)を、がん細胞に誘導する新しい核酸の創製に成功したと発表した。
同研究グループによるとこの成果は、新たな核酸医薬品の開発などにおいて活用が期待できるものだという。
自ら死へ至る機構を持つ細胞
細胞は、個体が恒常性を保つための重要な仕組みとして、自ら死へ至る内在的な機構を持つ。この機構には、細胞内のミトコンドリアが関わっており、その膜電位の消失がアポトーシスを誘導すると考えられている。
今回の研究では、様々なDNA配列の人工核酸をヒト結腸がんの細胞株HCT116に作用させ、ミトコンドリア膜電位の消失を誘導する人工核酸の探索が行われた。探索のためのスクリーニングでは、遺伝子情報解析支援システムと人工配列の核酸ライブラリーが利用されている。
約15万種類の中から、効果を示す核酸を1つ発見
同研究グループは探索の結果、約15万種類の中から効果を示す核酸を1つ発見した。この核酸は、ヒトゲノム配列と比較して完全一致しない塩基配列であったが、研究グループはその標的遺伝子の特定に成功。未解明の膜タンパク質「TMEM117」であることを突き止めている。
同研究グループは、この「TMEM117」の機能解明が進むことで、がん細胞死を誘導する核酸医薬品の開発が期待できるとしている。
(画像はプレスリリースより)

がん細胞死を誘導する人工配列の核酸の創製に成功 核酸医薬の開発に期待 - 東京工科大学
http://www.teu.ac.jp/press/2017.html?id=113