がん特異的抗体のエピトープ解析にも威力を発揮
東北大学は、5月8日、同学の研究グループが、分子標的薬開発のための糖鎖欠損細胞株確立に成功したと発表した。
この研究を行ったのは、未来科学技術共同研究センター/同学大学院医学系研究科抗体創薬研究分野の加藤幸成教授と、同学大学院医学系研究科抗体創薬共同研究講座の金子美華准教授からなる研究グループ。糖鎖欠損細胞株は、抗糖ペプチド抗体やがん特異的抗体のエピトープ解析にも威力を発揮するという。
糖タンパク質に対する分子標的薬の開発を
抗体医薬の開発では、創薬の標的となる分子の同定が極めて重要となる。しかし、新規の標的分子の発見および解析は、現在でもなお困難となっている。
これまでの標的分子探索にでは、タンパク質の本体に焦点が当てられてきた。しかし、生体の膜タンパク質や分泌タンパク質の大半は、多様な糖鎖によって修飾された糖タンパク質であり、糖タンパク質に対する分子標的薬の開発が望まれている。
複数の糖鎖欠損細胞株の開発に成功
東北大学は2012年度より5年間、AMED創薬等ライフサイエンス研究支援基盤事業(創薬等支援技術基盤プラットフォーム事業)において、糖鎖欠損細胞株の開発を実施。その結果、複数の糖鎖欠損細胞株の開発に成功した。これら糖鎖欠損細胞株は、抗体医薬の解析のみならず、ライフサイエンス研究における糖鎖機能解析にも威力を発揮するものだという。
なお同学は本年5月、各種糖鎖欠損細胞株について、カナダのApplied Biological Materials社とライセンス契約を締結している。
(画像はプレスリリースより)

分子標的薬開発のための糖鎖欠損細胞株の確立 - 東北大学
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