医薬品などの原料として有用なアミン類
九州大学は、5月1日、無保護アミン類の直接的かつ効率的な新しい合成方法の開発に成功したと発表した。
アミン類は、医薬品などの原料として有用な化合物。今回開発された合成方法は、これまでの常識を覆すものであり、医薬化学の発展に貢献する知見であるという。
保護基を不要とする無保護アミン類の合成手法
アミン類の効率的な合成にあたり、有機化合物イミンに対する付加反応は有用であるため、世界中で研究が行われている。しかしこれまで開発された反応は、反応性・選択性の制御や生成物の安定性の面から窒素原子があらかじめ保護されたイミンを用いるのが常識だった。合成素子として有用な無保護のアミン類を得るには、不要な保護基を取り除く手間を要している。
九大大学院・大嶋孝志教授らは、この問題を解決すべく、これまであまり用いられてこなかった窒素原子が保護されていないイミンを活用。保護基を不要とする新しい無保護アミン類の合成手法を確立した。
英国の王立化学会誌で発表
大嶋教授らはこの研究において、得られた無保護アミン類が、生物活性物質の誘導体へと直接変換可能であることも実証。今後も、低環境負荷の有用分子合成手法の開発を通じて、医薬化学の発展に貢献するとしている。
なおこの研究成果は、英国の王立化学会誌「Chemical Communications」4月27日付けオンライン版において発表された。
(画像は九州大学の公式ホームページより)

無保護アミン類の直接的かつ効率的な新しい合成方法の開発に成功 - 九州大学
http://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/117