画期的な胆管癌マウスモデルを樹立
東京大学は、4月25日、慢性胆管障害が胆管癌発症を促進するメカニズムを解明したと発表した。
この発表を行ったのは、東京大学医学部附属病院消化器内科・中川勇人助教授ら。中川助教授らは、新規薬剤の前臨床試験などへの活用が期待できる画期的な胆管癌マウスモデルを樹立したという。
治療標的の候補となる分子「IL-33」を同定
胆管癌発症の危険因子としては、原発性硬化性胆管炎や肝吸虫症などの慢性胆管障害・炎症の存在が、以前から知られている。しかしそのメカニズムは未だ不明であり、特に肝臓の外の胆管に生じる肝外胆管癌については適切な動物モデルも存在しなかった。
中川助教授らは今回、ヒトの病態を模倣した新しい肝外胆管癌マウスモデル、さらにはオルガノイドモデルを、遺伝子改変技術によって樹立。胆管癌の発癌機序を解明するとともに、治療標的の候補となる分子「IL-33」を同定した。
動物モデルから得られた知見と臨床情報を融合
今回樹立されたマウスモデルは、胆管の慢性炎症からの癌化過程を模倣した世界初の画期的なモデルであると、中川助教授らは自負。有効性の高い抗癌剤が現状では存在しない進行胆管癌についても、同モデルを用いて行うことで問題をクリアする一助にも可能性が期待できるとしている。
中川助教授らは今後も、動物モデルから得られた知見と臨床情報を融合させ、病態の正しい理解と治療法・予防法の開発に貢献するとしている。
(画像はプレスリリースより)

慢性胆管障害が胆管癌発症を促進するメカニズムを解明 - 東京大学
http://www.h.u-tokyo.ac.jp/vcms_lf/release_20170425.pdf