有力な治療薬候補物質につながる発見
理化学研究所(以下「理研」)は、4月22日、NGLY1欠損症の治療標的候補を発見したと発表した。
この発見を行ったのは、理研グローバル研究クラスタ糖鎖代謝学研究チームの鈴木匡チームリーダーらによって構成された共同研究グループ。NGLY1欠損症の治療薬開発にあたり、有力な候補物質につながる発見だという。
有効な治療法は、未だ見つかっていない
ヒトの細胞質には、タンパク質の品質管理に関与するN型糖鎖脱離酵素であるNGLY1タンパク質が、広く存在する。NGLY1欠損症は、このNGLY1タンパク質の遺伝子変異が原因となる遺伝子疾患であり、最近発見された。
NGLY1欠損症の症状は、発育不全・四肢の筋力低下・不随意運動・てんかん・脳波異常・肝機能障害を伴い、全身的に重篤な形で発現する。有効な治療法は、未だ見つかっていない。
NGLY1-KOマウスの致死性が回避
共同研究グループは今回の研究にあたり、NGLY1遺伝子を欠損したマウス(NGLY1-KOマウス)を作成し、その解析を実施。別の遺伝子であるEngase遺伝子をさらに欠損させることによって、NGLY1-KOマウスの致死性が回避されることを発見した。
同グループはこの成果から、Engaseの働きを阻害する物質が、NGLY1欠損症治療薬の有力候補となる可能性が期待できるとしている。
(画像はプレスリリースより)

NGLY1欠損症の治療標的候補の発見 - 理化学研究所
http://www.riken.jp/pr/press/2017/20170422_1/