イマチニブ耐性マスト白血病の治療薬候補物質となるか
東京理科大学は4月13日、同大理学部応用化学科 椎名勇教授と、生命医科学研究所 安部良教授、小幡裕希講師が、予後不良であるイマチニブ耐性 Kitマスト細胞腫に対して、新規ゴルジ体機能阻害剤 M-COPA(2-メチル コプロフィリンアミド[AMF-26])が、アポトーシス(細胞死)を誘導することを解明したと発表した。
同大は、今回の研究成果はM-COPAがイマチニブ耐性マスト白血病の治療薬候補物質となり得ることを示唆するものとしている。
慢性骨髄性白血病等に適用のイマチニブに耐性のケースも
チロシンキナーゼ阻害剤イマチニブは、慢性骨髄性白血病と消化管間質腫瘍(GIST)に適用される分子標的薬。
イマチニブのGISTにおける標的は「Kit チロシンキナーゼ」という細胞増殖シグナル受容体膜タンパク質で、同剤が細胞増殖シグナルを遮断することで、がん細胞の増殖が抑制される。
しかし、マスト細胞腫(肥満細胞腫)に多くみられる、イマチニブに耐性のあるKitチロシンキナーゼの変異を最初からもつケースでは、同剤による治療効果は期待できなかった。
難治性血液がんに対する治療薬開発に期待
今回の研究では、マスト細胞腫をM-COPAで処理することで、変異型「Kitチロシンキナーゼ」が小胞体に留まり、Kitシグナリングプラットフォームへの輸送が阻害されること、さらに、それによりイマチニブ耐性Kitマスト細胞腫の増殖が有意に抑制されることが明らかになった。
M-COPA 及びその誘導体は、現在産学連携で難治性胃がん(MET 陽性胃がん)の治療薬として研究開発されているが、今後は難治性血液がんに対する治療薬開発が期待される。
(画像はプレスリリースより)

東京理科大学 ニュースリリース
http://www.tus.ac.jp/today/201704130010.pdf