強度やタンパク質放出速度の制御が可能
京都大学は、2018年1月10日、特定の刺激に応じた強度やタンパク質放出速度の制御が可能な、新しいスマートヒドロゲルの開発に成功したと発表した。
この成果は、同学工学研究科・浜地格教授、大阪大学・重光孟助教、京都工芸繊維大学・浦山健治教授らの研究グループによるもの。新たな診断材料や薬物徐放担体などの開発加速が期待できる成果だという。
水をゼリーのように固めたヒドロゲル
ヒドロゲルは、水をゼリーのように固めたものであり、ほぼ水で構成されるため生体適合性が高い。そのため、化粧品や食品のみならず、医療や診断への応用が期待されてきた。特に刺激応答性ヒドロゲルは、特定の刺激に応答して物性を変える性質を持つため、薬物の効率的保持や放出を担う素材として応用が期待されている。
しかし従来の刺激応答性ヒドロゲルは、「1つの刺激に対して1種類の応答」を示す単純なものであり、応用も限定されていた。生体での応用を考慮した場合、複数の特定刺激に適応して自らその性質を柔軟に変化させる自律応答性ヒドロゲルの開発が必須となる。そのため同研究グループは今回、刺激応答性の超分子ヒドロゲルを開発するに至った。
物質の取り込み挙動を自ら制御できる
同研究グループは、異なる刺激応答性を有する2種類のナノ繊維からなるネットワーク構造を基盤として、刺激応答性の超分子ヒドロゲルを開発した。このヒドロゲルは、それぞれのナノ繊維の特徴を反映し、2種類の刺激に応じてゲルの強度を自律的に変える。また、タンパク質放出速度の制御も可能となっている。さらに、刺激を受ける順序を認識して物質の取り込み挙動を自ら制御できることも、明らかになった。
同研究グループは、今回の研究で示した刺激応答性超分子の複合化が、次世代スマートソフトマテリアルの新たな開発指針になることを期待しているという。
(画像はプレスリリースより)

特定の刺激でタンパク質放出速度を制御、スマート超分子ヒドロゲルの開発 - 京都大学
http://www.kyoto-u.ac.jp/