国内第II相臨床試験の中止 奏効例が見られず
シンバイオ製薬株式会社(本社:東京都、代表:吉田 文紀、以下シンバイオ)は、同社が開発中だった抗悪性腫瘍剤「トレアキシン(一般名・ベンダムスチン塩酸塩)」に関する臨床試験の中止を発表した。
同試験は、「トレアキシン」の適応拡大を背景に、再発・難治性の多発性骨髄腫の患者を対象に、エーザイ株式会社(以下エーザイ)と共同で行った、多施設共同オープン第II相臨床試験。
再発・難治性の多発性骨髄腫の日本人患者に対する投与量90mg/m2での安全性について確認がとれた一方で、奏効例は見られなかったという。
また、同試験を継続し、さらなる症例を集積し続けた場合においても、期待奏効率の達成は困難だと判断され、今後の「トレアキシン」開発においては、海外での開発状況等によって改めて検討されるに至った。
1万人を超える再発・難治性多発性骨髄腫の国内患者数
シンバイオとエーザイが共同で開発を進めてきた「トレアキシン」は、旧東ドイツのイエナファルマ社によって合成された抗がん剤。
非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、慢性リンパ性白血病などの治療剤として、欧州各国で販売。また、米国では、慢性リンパ性白血病および再発性B細胞性非ホジキンリンパ腫の治療剤として「トレアンダ」の製品名で販売されている。
また、同剤は国内において、2010年10月に再発・難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫を適応症とする承認を取得。業務提携先のエーザイによって、2010年12月より販売されている。
今回、適応拡大が期待されていた再発・難治性の多発性骨髄腫の国内患者数は、多発性骨髄腫の患者数と同程度でおよそ13000人だという。
多発性骨髄腫は血液がんの一種で、骨髄中で抗体を産生するリンパ球ががん化することにより発現。免疫機能の低下や、骨の脆弱化、痛みなどを発症する。

「シンバイオ製薬株式会社 ニュースリリース」
http://www.symbiopharma.com/