精神医学分野における著名な医学誌に掲載
大日本住友製薬株式会社(本社:大阪府、代表:多田 正世)は、同社の米国子会社であるサノビオン社が販売する「LATUDA(ラツーダ)」の治験結果について、米国精神学会発行の医学誌に掲載されたと発表した。
サノビオン社が米国で販売するラツーダは、非定型抗精神病薬(一般名:ルラシドン塩酸塩)。
サノビオン社は、その同薬について、双極I型障害うつに対する、単剤療法試験と、(リチウムまたはバルプロ酸との)併用療法試験を対象に、2本の第III相臨床試験を実施。プラセボ投与群との比較試験によって、ラツーダの有効性と安全性を検証した。
ラツーダに有意な改善結果
両試験は、6週間投与プラセボ対照無作為二重盲検試験となり、双極I型障害うつの成人患者を対象に実施。
単剤療法試験では、2つのタイプのラツーダ投与群(1日20mg-60mg投与群および1日80mg-120mg投与群)とプラセボ投与群を無作為に割り付け。また、併用療法試験では、ラツーダ投与群(1日20mg-60mg投与)とプラセボ投与群に、6週間のリチウムまたはバルプロ酸による前治療を無作為に追加し、割り付けた。
その結果、単剤療法試験では、ラツーダ投与群の両群に主要評価項目であるMADRS(包括的精神病理学評価尺度のなかからうつ状態を評価する尺度)において、プラセボ群と比べ有意な改善が示された。
また、併用療法試験においても、リチウムまたはバルプロ酸による前治療を追加したラツーダ投与群には、プラセボ投与群と比べ、有意な改善が示された。
双極I型障害うつ治療に新たな期待
さらに両試験では、ラツーダによる治療を受けた患者全般に、体重、BMI、脂質、血糖コントロール指数における低い変化量が示されたほか、ラツーダ投与群で5%以上発現し、かつプラセボ投与群より多く認められた有害事象として、嘔気、眠気、振戦、アカシジア、不眠が報告された。
サノビオン社の最高執行責任者であるアントニー・ローベル氏は、一般的な気分安定薬や抗うつ薬、抗精神病薬の有効性を示すデータが少ないことから、双極性障害うつに対する診療のためのガイドラインが不足していると指摘。今回の試験によって、安全性および認容性について、確かなエビデンスを提供し、それらの課題に対処するために役立てたいとした。
今回の試験結果は米国精神科学会(American Psychiatric Association)が発行する、精神医学分野で最も権威のある医学誌の一つ「American Journal of Psychiatry」に掲載。ラツーダの双極I型障害うつに関する適応追加承認の取得に向け、一定の期待が持てる結果となった。

「大日本住友製薬 ニュースリリース」
http://www.ds-pharma.co.jp/