セディラニブ 臨床試験で3カ月の延命効果
アストラゼネカ社によって開発中である、セディラニブという薬剤で治療を行った再発性の卵巣がん患者は、3ヶ月ほどの延命効果があったとの臨床試験結果が5日、リバプールで開催された英国国立がん研究所のがん学会議で発表された。
英国がん研究所が出資したフェーズIII臨床試験の結果、化学療法と平行してセディラニブが投与された患者は、がんが進行するまでの期間が3.2カ月延長された(9.4カ月から12.6カ月へ)。さらに化学療法のみの患者に比べ、平均して3カ月の延命効果があった(17.6カ月から20.3カ月へ)。
「生存率の増加率は小さいが、この発見は進行卵巣がん患者にとって、大変重要な発見です。セディラニブは腫瘍進行の遅延と、再発した卵巣がん患者の全生存率の向上を見せた最初の薬なのです」(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン英国がん研究センター治験総括医 ジョナサン・レダーマン教授――プレスリリースより)
セディラニブは錠剤として服用する薬で、腫瘍が増殖に必要な血管を新しく作るのを阻害する働きがある、チロシン・キナーゼ阻害薬と呼ばれる薬の一種。
がん治療に化学療法にかわる新たな可能性か
NCRIの臨床研究局長マット・シーモア教授は、以下のように語った。
「この結果は大変心強いです。従来の化学療法に比べ、まったく違う働きをするこの新薬が、卵巣がんで苦しむ患者を大いに助けることができるのですから。平均的な恩恵は3カ月とわずかですが、価値があるものです。そして将来的には、誰がこの新薬から利得を得るのか、確定することができると思います」(プレスリリースより)
「そしてさらに重要なのは、多くのがん治療がそうであるように、卵巣がんの進行は徐々です。時間と共に、この研究のような多くのプログラムから得る小さな利益が、一つに合わさって、患者の命に大きな影響を与えるでしょう」(プレスリリースより)
イギリスでは、毎年7000人の女性が卵巣がんと診断されている。過去30年で生存率は2倍になったが、それでも43パーセントにとどまっている。

New drug extends life in women with advanced ovarian cancer
http://www.cancerresearchuk.org/cancer-info/news/