プラセボ対照臨床試験において実証
慶應義塾大学医学部は、11月28日、活動性の潰瘍性大腸炎の治療において植物由来の染料が有効であることを、プラセボ対照臨床試験において科学的に実証したと発表した。
この成果は、同大医学部内科学(消化器)教室の金井隆典教授らを中心とした全国33施設の多施設共同研究グループによるもの。今後の安全性検証と新規治療法の開発に期待が持てる成果だという。
「青黛」と呼ばれる藍色の染料
潰瘍性大腸炎は、大腸に慢性の炎症が起こる炎症性腸疾患。血便・下痢・腹痛が主症状であり、原因不明とされる。新薬の登場などで近年は治療成績が大きく改善しているが、これらの治療でも改善しない患者は大腸全摘術を余儀なくされており、新たな治療法の開発が望まれていた。
今回、潰瘍性大腸炎の治療における有効性が確認されたのは、「青黛」と呼ばれる藍色の染料。日本では、一部の潰瘍性大腸炎患者が個人の判断で「青黛」を自己購入したり、民間療法として使用されたりしているという現状が問題視されていた。
自己判断で「青黛」を使用すべきではないと注意
金井教授らはこれまでも少数例の単施設研究において、「青黛」の経口投与が活動期の潰瘍性大腸炎患者において高い有効性を示す可能性を示唆してきた。今回の研究では、「青黛」の用量を段階的に設定したプラセボを含む臨床試験を実施。「青黛」は、70%から81%という高い有効性を示したという。
同研究グループは今回の成果が、潰瘍性大腸炎の病態解明や、「青黛」の有効成分を用いた新しい潰瘍性大腸炎の治療法の開発に期待が持てるものであるとする。同時に、患者が自己判断で「青黛」を使用すべきではないと、注意も喚起している。
(画像は慶應義塾大学の公式ホームページより)

藍色の染料が潰瘍性大腸炎の治療に有効であることを実証 今後の安全性検証と新規治療法の開発に期待 - 慶應義塾大学医学部
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